形容詞の接続は難しい
「山田さんはきれいと面白い。」
形容詞を初めて授業で導入すると、生徒たちは張り切って楽しい文を作ろうと、2つの形容詞をつなげた文を作るのですが、このように「と」を使ってつなげてしまいます。なぜこうなってしまうのでしょう? それは、「ケーキとコーヒー」のように、名詞を結ぶとき「と」を先に教えているので、英語のandと同じように形容詞もつなげるからです。
そこで、形容詞の接続の仕方を教えることになるのですが、またここで注意しないといけません。次のように、二通りの接続の仕方があるからです。
1. 山田さんはきれいで、おもしろい。
2. 山田さんはきれいだし、おもしろい。
どちらも正しいですが、ニュアンスが違います。どう違うのでしょうか。質問を考えてみるとわかりやすくなると思います。
「どの人が山田さんですか? 」
この質問には「おもしろくてきれい」の答えのほうがぴったり合うはずです。では、次の質問はどうでしょうか?
「どうして山田さんが好きですか?」
この場合、二つの答えが可能でしょう。
1. おもしろくてきれい(だから)。
2. おもしろいしきれいだし。
比べてみると「し、だし」のほうが、好きの理由を強く表しているのではないでしょうか。
ふだん私たちが何気なく使っている「くて」や「だし」にも、意外と深い意味があるのですね。
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教え方の例この違いがはっきりするように、「くて・で」の練習の場合は、何かを説明して当てるというゲームをします。最初に、例として以下のような会話をいっしょに読みます。

生徒が会話の内容をよく理解したら、ボードやチャットボックスに、説明すべきこと、例えば「形・色・サイズ ~をたべます ~がすきです ~にいます」などを書いてあげると何を言うべきか、はっきりしていいと思います。
一方、「し、だし」のほうは、何かの理由として使うので、先ほどの例文のように「どうして~?」という質問文を提示すると答えやすいでしょう。
ときどき思いがけないクイズが飛び出して、楽しい授業になりますよ。
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小川 清美
フリーランスの日本語講師。Cartus の講師として日本在住のボーイング社員や家族に日本語を指導。2012年CartusTop language teacher。そのほか、クラブイタリア名古屋、リンゲージ日本語学校などで契約講師として勤務、また移民、難民などにプライベートで日本語を指導。現在はオンラインレッスンが中心。
2019年4月より約2年間、MATCHA - JAPAN TRAVEL WEB MAGAZINEに四コママンガとともに日本語についての記事を連載
ストアカで「オンラインでの日本語の教え方」開催
著書 ※詳細はブログ『Fun! Japanese lessons』よりご覧いただけます
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