名前の呼び方
もう10年以上、ほぼ毎日平均5,6レッスン教えているのですが、つい最近までモヤモヤしていることがありました。それは名前の呼び方です。生徒に自分の名前を呼んでもらうとき、苗字と名前、どちらを読んでもらうのがいいのか。
オンラインで日本語を教え始めたばかりの頃は、下の名前をつかって「きよみです」と名乗り、生徒たちは私を「きよみ先生」と呼んでいました。日本語教師になる以前、幼稚園で英語を教えていた時にも同じように「きよみ先生」でしたし、親しみがあってかわいい感じがしたので特に意識せずにいました。
しかし、契約講師として国内の日本語学校で教える機会が増えると、学校の経営者の方に生徒たちに「小川先生」と紹介され、生徒たちからもそのように呼ばれるようになりました。最初は少し堅苦しく思ったのですが、考えてみれば企業研修のために日本語を学ぶ方たちにとっては、かわいい感じよりも丁寧な感じのほうが大切です。
そういえば、と思いを巡らせてみると、オンラインで教えている生徒でも日本に住んでいたことがある生徒たちは、「きよみ先生と呼んでください」と私が言う前に、自然に「小川先生」と私を読んでいます。さらに、アニメが好きな生徒たちが、「先生」とだけ言っていることにも気づきました。あまりにも自然だったので、自分が「きよみせんせい」ではなく「先生」とだけ言われているという自覚がありませんでした。ということは、自分の中で一番しっくりくるのは「先生」なのでは、という結論に達しました。
英語の先生をしている生徒ともその話をしたのですが、おもしろいことに、英語でも似たようなことがあるのが分かりました。日本と同様、学校ではラストネームにミスターやミスをつけるのですが、オンラインレッスンでは、なぜかファーストネームだけになるそうです。
私はその事情を知りませんでしたので、アメリカに移住後、息子の担任の先生にメールをしたとき、うっかりファーストネームを書いてしまい、息子と主人に失礼だよ、と注意されてしまいました。
おもしろいことにオンラインの世界は現実の学校よりもくだけた感じという認識が暗黙の了解であるのですね。
ただ、オンラインで教えているとはいえ、日本人同士が、通常名字で呼びあうということを伝えなければいけないと思います。そのうえで、外国人が名乗るときにはファーストネームを使うことをわれわれ日本人が知っていること、そして私のことは「先生」とだけ呼べばいいと伝えることにしています。
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小川 清美
フリーランスの日本語講師。Cartus の講師として日本在住のボーイング社員や家族に日本語を指導。2012年CartusTop language teacher。そのほか、クラブイタリア名古屋、リンゲージ日本語学校などで契約講師として勤務、また移民、難民などにプライベートで日本語を指導。現在はオンラインレッスンが中心。
2019年4月より約2年間、MATCHA - JAPAN TRAVEL WEB MAGAZINEに四コママンガとともに日本語についての記事を連載
ストアカで「オンラインでの日本語の教え方」開催
著書 ※詳細はブログ『Fun! Japanese lessons』よりご覧いただけます
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