「内と外」

このコラムを読んでくださっている方には日本語教師養成講座を受けている、または受けていた方もいらっしゃると思いますが、養成講座の中で難しい文法項目の一つに,「あげる」「くれる」「もらう」の授受動詞があるのではないでしょうか。
私自身、養成講座を受けるまでは、日本人が「あげる」「くれる」「もらう」の三つの動詞を使い分けていることを意識したことがありませんでしたので、スムーズに生徒に説明できるようになるまで私自身がきちんと理解しなければいけませんでした。
まず、「あげる」と「もらう」を見てみましょう
僕は友達にゲームをあげた。
僕は友達にお菓子をもらった。
この2文はシンプルで英語の give and recieve と同じです。 では、「くれる」はどうでしょうか。
友達は僕にお菓子をあげた。
友達は僕にお菓子をくれた。
学習者はよく上のような文を書きますが、日本人ならこれは変だなと思うはずです。

受け取るのが自分の場合は、いつも「くれる」を使います。
では受け手が「弟」の場合はどうでしょうか。
友達は僕の弟にお菓子をくれた。
友達は友だちの弟にお菓子をくれた。

「僕の弟」なら「くれる」を使えますが、「友達の弟」の場合は変に聞こえます。
これを表すのが、いわゆる「内と外」の考え方です。

韓国や中国には似たような考えがあるようですが、欧米の言語にはあまりないようなので、理解できても使いこなすのがやや難しいようです。こんなところにも国民性が表れていておもしろいですね。
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*Prctical Japanese 3訂正のお知らせ
読者の方から間違いのご指摘をいただきました
P14 もらう means to receive and is also in Group2
Group1の間違いです。活用表に間違いはございません。
この場をかりてお詫びいたします。
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小川 清美
フリーランスの日本語講師。Cartus の講師として日本在住のボーイング社員や家族に日本語を指導。2012年CartusTop language teacher。そのほか、クラブイタリア名古屋、リンゲージ日本語学校などで契約講師として勤務、また移民、難民などにプライベートで日本語を指導。現在はオンラインレッスンが中心。
2019年4月より約2年間、MATCHA - JAPAN TRAVEL WEB MAGAZINEに四コママンガとともに日本語についての記事を連載
ストアカで「オンラインでの日本語の教え方」開催
著書 ※詳細はブログ『Fun! Japanese lessons』よりご覧いただけます
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