自動詞 他動詞

私はレッスン後の宿題として生徒に作文を書かせることが多いのですが、他動詞と自動詞を間違えてなんとも不思議な文になることがよくみられます。
カバンをあいたとき、財布を落ちた。近所に新しい家を建った。
正しい文は次のように二通りになるでしょう。
1.カバンを開けたとき、財布を落とした。近所に新しい家を建てた。
2.カバンが開いたとき、財布が落ちた。近所に新しい家が建った。
助詞を直すか、動詞を直すか、いずれにしても、基本の意味は同じなのですが、行為者が違うので、そのニュアンスは大きく違いますね。
その、ニュアンスを変えてしまう自動詞、他動詞とはなんでしょう。
学生時代にまじめに国語を勉強した方には問題ないと思いますが、私は養成講座を受けたとき「自動詞と他動詞ってなんのこと?」と首をかしげてしまった記憶があります。
大きな違いは、他動詞文は目的語がある一方、自動詞文は目的語がありません。自動詞の文では目的語が主語になります。
自動詞
subject が intransitive verb
ドア が 開く
ドア が 閉まる
他動詞
subject は object を transitive verb
私 は ドア を 開ける
私 は ドア を 閉める
教科書では、自動詞・他動詞の導入は何かを描写するときにつかい、自動詞・他動詞を並べて説明します。

practical Japanese 2 より
しかし、単語だけを覚えようとすると、似ている上に規則性があまりないので、大変覚えにくいようで、「先生、覚えられません。なにかルールはないですか?」とよく聞かれます。
そこで、どうしたら効率的に覚えられるようになるかと色々な方法を試してみましたが、最近は、「ください」どっちを使うか思い出させるようにしています。「ください」は、文法の最初のほうから出てきますし、レッスンや教室の指示語としてもよく使われます。
たとえば、「窓を開けてください」「電気をつけてください」などです。
それで生徒が「開ける?開く」と迷っている時、「くださいの文はどっちを使いますか?開いてください?開けてください?」とヒントを与えるとスッと答えがでてきます。
つまり「ください」でしっかりとたくさんの動詞を覚えておけば後で自動詞、他動詞の区別がつきやすくなるのです。
ほかにも、てもいいですか、てしまいました。など、人が主語のものは他動詞をつかいますので、生徒がよく使うような定型文をつくってまずは他動詞の文をしっかり暗記するようにすすめています。
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先生によって、色々な効果的な方法があると思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
小川 清美
フリーランスの日本語講師。Cartus の講師として日本在住のボーイング社員や家族に日本語を指導。2012年CartusTop language teacher。そのほか、クラブイタリア名古屋、リンゲージ日本語学校などで契約講師として勤務、また移民、難民などにプライベートで日本語を指導。現在はオンラインレッスンが中心。
2019年4月より約2年間、MATCHA - JAPAN TRAVEL WEB MAGAZINEに四コママンガとともに日本語についての記事を連載
ストアカで「オンラインでの日本語の教え方」開催
著書 ※詳細はブログ『Fun! Japanese lessons』よりご覧いただけます
- Practical Japanese1,2,3 Easy and Fun ひらがな、カタカナ、漢字
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